お知らせ2015年、地域資格「GPM」(グローカルプロジェクトマネジャー)のプログラムがスタートしました。

活動記録 (5大学連携)

前期成果報告会『グローカル人材の可能性』 盛会にて終了

開催日時:7月12日

平成27年度に創設予定の資格「グローカルプロジェクとマネージャー」(以下、GPM)やPBL(Project Based Learning=課題解決型学習)に関する進捗報告、連携5大学の学生によるプログラム等を通した本事業の取組発信である前期成果報告会を、昨年度に引き続き開催しました。

ご案内
日時2014年7月12日(金)14:00開場 17:30終了
場所京都産業大学むすびわざ館
〒600-8533 京都市下京区中堂寺命婦町1-10
対象大学生、大学院生、教職員、企業関係者、経済団体関係者、行政関係者、教職員関係者、NPO関係者他
参加人数約130名
プログラム
  • 3A教室
    • 開会挨拶 田中 和博(京都府立大学副学長)
    • 基調報告「グローカル人材プロジェクトの現在:PBLの可能性」中谷 真憲(京都産業大学法学部教授/特定非営利活動法人グローカル人材開発センター専務理事)
    • 学生による取組発表と質疑
    • パネルディスカッション 学生×企業「学ぶ、遊ぶ、働く:京都から考える」
  • CAFE KSUKSU
    • 意見交換会
    • 閉会挨拶 土山 雅之 氏(土山印刷株式会社 代表取締役社長)
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プログラム報告

開会挨拶 田中 和博(京都府立大学副学長)

[要旨] 本事業の連携校である京都府立大学でも、来年度からの基本プログラムを経済会の意見も取り入れて学内委員会等で検討したり、企業人を講師に招いた双方向の授業や、コミュニティFMを通した公共政策学部のPBLを全学的取組へシフトするなど、資格の本格実施に向けて各種取組をすすめている。

本事業が目的としている「グローカル人材の育成」については、実践的改革を通して専門教育を本格的に社会化していくことが大きな課題であるが、その要となるのがPBLである。PBLは、あらゆる面で学生が主役になって取り組み、そこでの体験を通して学生がさらに大きく成長していくことが期待される。本日の報告会においても、発表面、運営面いずれも学生が中心になって作られていることから、一種のPBLとも捉えることができる。


基調報告 「グローカル人材プロジェクトの現在:PBLの可能性」
中谷 真憲(京都産業大学法学部教授/特定非営利活動法人グローカル人材開発センター専務理事)

[要旨] 我々が目指しているものは、大きく分けて以下の2点である。

1)教育改革…座学だけではなく、学生の足を現場に運ばせ、経験を積ませていくという「教育の社会化」

2)京都を支える人材の育成…大学の存在意義は教育と研究であり、特に前者は4年間学生を学ばせ社会に送り出すにも、大学の方が時代の流れを読み取ることが必要である。

この2点を踏まえたものがPBLであり、他の授業と同じ2単位取得でありながら、受講学生、教員、受入企業など関わるすべての人が大変ではあるが、学生にとってはやりがいがあり真の成長に繋がる。資格「GPM」は、ワークショップを含む基本6科目とPBLを修了後に付与されるが、自分をアピールする一つの選択肢として学生が使ってくれたらと思っている。

「共同教育」とうたってはいるものの、本当に共通のプロジェクトを開発している例は少ない中、本事業は京都の経済界と連携した共通のPBLを提供する非常に珍しいケースで、他府県からの問い合わせも多い。学生には「この4年間で本当に力をつけることをやってみないか」ということ、教員には「アクティブラーニングの仕掛けは多様であり、今後も教育の社会化を意識していく必要がある」というメッセージを発信したい。


学生による取組紹介と質疑 発表大学:京都産業大学、京都文教大学、龍谷大学
質問大学:京都府立大学、佛教大学

連携5大学のうち、3大学が本資格に関わる科目やグローカル人材育成に関わるPBLを取り入れた専門ゼミの取り組みなどの発表を行い、2大学がそれに対する質疑をする形式のプログラムが行われました

それぞれの発表テーマに合わせ、「国際的な視点を取り入れたまちづくりとは?」「中小企業が障害者を雇用するメリットや、働くことにおいての障害者自身の強みは?」「エクスターンシップ実習での経験を通じて、今後どのようなことに取り組んでいきたいか?」など、2大学学生からの活発な質問に3大学の特色溢れる取組を通じた応答がなされました。

コーディネーター:高畠 淳子
(京都産業大学法学部教授)

[要旨] PBLは学生が主体的に学ぶ良いきっかけになっている。授業計画を練る段階では学生がついて来られるのか心配だったが、いざ進めてみると学生の理解度や取り組み姿勢に驚き、効果の高さを感じている。アクティブラーニングは一方的な講義に比べて準備は大変ではあるが、学生もやりがいを感じ、教員も手ごたえを感じる教育手法であると言える。


パネルディスカッション 学生×企業「学ぶ、遊ぶ、働く:京都から考える」

パネリストである学生と企業人の双方が、「学ぶ」「遊ぶ」「働く」について自身の経験や考えを基に発議した中から、京都から考える=京都だからできる「学ぶ」「遊ぶ」「働く」ということは何か、を見出すディスカッションが行われました。

学生パネリスト(龍谷大学)

[要旨] 「働く」ということにお金を稼ぐためといった堅いイメージがあったが、京都の伝統を感じながら責任を持って働くこと、そして人に感謝し、共生していくことが、京都で働くということの意味だと思う。

学生パネリスト(龍谷大学)

[要旨] 「遊ぶ」とは好奇心に基づく心の高揚であると考えるので、人によって様々なことが遊びになりえる。京都という町では、歴史・文化といった京都でしか味わうことのできない心の高揚を得ることができると思う。

学生パネリスト(龍谷大学)

[要旨] 京都という中だけで生きているので的確にほかの町と比較することはできないが、大学の多さと伝統文化を感じながら、各個人独自の視点から京都を見ることで、「学び」を得ることができると考える。

社会人パネリスト:青木 正太 氏
(起業家/元フットワークエクスプレス社長)

[要旨] 「学ぶ」「遊ぶ」「働く」この3つは三位一体となっている。学びながら遊び・働き、遊びながら学び・働き、働きながら遊び・学びにそれぞれを活かす。そのためには何をしている時でも本気で取り組むこと。加えて京都には、この3つの基となる材料がふんだんにあふれている。その材料を活かすとは、それを基にクリエイティブな思考を身に付けることに他ならない。

社会人パネリスト:日野 真代 氏
(学校法人明徳学園理事/学園本部長)

地域の歴史や風土を作っているのは人である。異質な人と人がつながるところに革新性が生まれる。京都は単に伝統を守るまちではなく、イノベーションのまちとなっていくことができる。そしてそれを担う人はやはり、安易に答えを求めるのではなく、自ら足を運び・見て・体感することでしか育っていかない。

コーディネーター:村田 和代
(龍谷大学政策学部教授)

青木氏、日野氏に共通した視点として、「働く」「学ぶ」「遊ぶ」を「楽しむ」ということが挙げられる。中でも「働く」は英語でJobやWorkといえるかもしれないが、より広く捉えれば、Careerと言えるだろう。自分の人生のキャリアのために楽しんで本気で取り組む。その中で、京都を内側からだけでなく「外」の視点を取り入れながら、発信していくことが要となってくるのではないか。

意見交換会

学生が将来の進路を選ぶ際、自身の中にある限られた選択肢の中から「なりたい姿」を設定する学生は多く存在します。またそこには「現実的に考えると」と自らの可能性を狭める、諦めのボーダーラインを学生は張っている現状があります。

そこで、意見交換会においては、学生が気づかずにかけている「諦めのボーダーライン」を取り除き、自分の可能性を広げるため、「あなたの人生を例えるなら山か?川か?」「あなたが30代でなりたい姿はどのようなものですか?」をテーマにワークショップを展開しました。

また、社会人にとっては自身の経験や考えを学生に話すことで改めて自身のキャリアについて考え直す機会とし、双方の考えを共有出来る機会となり、盛会にて終了しました。


閉会挨拶 土山 雅之 氏(土山印刷株式会社 代表取締役社長)

「学生の取組発表と質疑」においては堂々とした発表と質問であり、若者のコミュニケーション力の低下などは感じられない内容だった。自分の若いころは座学一辺倒の授業だったが、PBLはこういったところにも効果が出ているのだと感じる。各大学の発表は、社会的にも重要な課題や京都ならではの課題、海外との交流を通した地域課題解決法など、熱心に取り組んだことが感じられた。また、「学生×企業パネルディスカッション」はテーマが抽象的だったにもかかわらず、世代の違いや時代の流れがよく表れている大変興味深いものだった。

今の若い人がしっかりと物事を考えていることに感銘を受けつつも、一方で小さくまとまらないでほしいと感じる。そのためにも、こういった場にどんどん出ていき、社会人と接点を持つということをメッセージとして伝えたい。また、社会人である我々が、京都・日本の将来を担う若い人を応援することによって、優秀な人材輩出のネットワークの形成に繋がると感じている。

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