本事業では、連携5大学、京都経済4団体及び京都府、京都市、特定非営利活動法人グローカル人材開発センターが協働し、確かな公共マインドと冷静なビジネスマインドを兼ね備えた、地域経済を支えるグローカル人材を育成することを目的としています。そのために、産学公が協働して「教育の社会化」となる体系的な教育プログラム「グローカル人材資格制度」を開発・実施し、プログラム修了者に「グローカルプロジェクトマネジャー(GPM)」資格を付与します。
平成27年度より本制度が本格実施することに伴い、その進捗報告も兼ねた平成26年度の後期成果報告会として『第2回グローカル人材フォーラム』を開催しました。本フォーラムは産学公連携を推し進め、大学教育と地域経済の発展に寄与するものであり、学生自身の自発的学びを促進しつつ、「グローカル人材」を育む一環として実施されました。当日の様子は以下の通りです。
日時 | 2015年2月27日(金)13:30開場 18:00終了 参加費無料 |
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場所 | 京都産業大学むすびわざ館 〒600-8533 京都市下京区中堂寺命婦町1-10 |
対象 | 大学生、大学院生、企業関係者、経済団体関係者、行政関係者、教職員、教育関係者等 |
参加人数 | 約280名 |
チラシ | チラシPDF |
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グローバル時代において、大学教育の在り方も変わってきている。グローバル化は、ヒト・モノ・カネ・情報がボーダーを超えて行き来するという意味であるが、地域においても、産業界・地方自治体・地域住民の方々がボーダーを超えて学生を支え育てていく、そういったシステムを構築していくことが求められている。
具体的には、学生がキャンパスの外に出て学ぶ、あるいは学外の方がキャンパスに入ってきて学生を育てていく、というセクター間のボーダレス化を実現していくことが大切である。そのような意味で、産学公が連携するこのような取組は、まさに時宜にかなったものであり、京都に留まることなく日本・グローバルへと発信していき、さらにグローバルパワーがローカルへと還元されるような仕組みを作っていくための革新的な取組である。
文部科学省の中央局審議会の答申では、高等学校の教育改革・入試改革・大学教育の質的転換の三位一体での取り組みを標榜している。そこで、アクティブラーニングを始め今回のフォーラムで発表されるような取り組みは、大学教育の質的転換に関して先進的なものであり、全国の大学教育のモデルとなり得るものである。この事業は、ステークホルダーの皆様のご協力あってのものであり、引き続きのご協力をお願いしたい。また、グローカル人材開発センターにはこの事業を通して得た知見を惜しみなく普及・披露していただきたい。大学関係者の皆様には、補助事業後の継続のための引き続きのご協力と、中間評価を踏まえたさらなる質の向上をお願いしたい。最後に、この事業の最大の成果はこのプロジェクトに参加している学生が将来的に京都で活躍することであるので、互いに切磋琢磨し、のびのびと成長していく姿を期待している。
このプロジェクトは京都の地域社会が熱く取り組んでいるものであり、形式的なものではない。これまでの大学教育は、学生を育てる舞台とその出口がバラバラであった。そこで、PBLなどを組み込むことで、大学教育を学生自身のキャリアや進路に繋げていくような仕組みが必要であった。
GPMは連携校同士でカリキュラムに同質性を持たせることで、資格としての質を保証している。そして、そこを核にして、学生が様々なプロジェクトに参加していくことが本当の意味での学内外での学びとなるし、実際にそのような学生が育っている。
すなわち、「グローバルな視野を持ちながら、地域社会・地域経済にて必要とされる『実践力』と『仕事への耐性』を持った骨太な人材」をこの資格の目指すべき人材として中核に据えるものである。
各大学より、それぞれの取り組みについて学生発表・報告がなされた。現場や地域社会との関係の中で課題に取り組み、成功や失敗を重ね、学生が成長したことが伝わってくる発表であった。また、現場だけでなく、大学においても与えられた課題についてチームで何度も議論し、意見を出し合い、積極的に課題解決に取り組んでいる姿も見ることができた。
各大学の取り組みによって得られた学びは、学生自身が与えられた課題を理解するために、主体的に社会に飛び込み、問題を解決するために様々な視点を求める、そうした一連の過程であった。これは、今後のグローカル人材育成において重視されるべき学びの1つであると言え、今回の学生取り組みは、グローカル人材を育成する教育手法の、1つのひな形として理解されるべきである。
トークセッションには、企業人と学生あわせて約60名が参加し、10のグループに分かれて行われた。それぞれのグループに学生と企業人が入り、「中小企業で働くことの魅力」について話し合い、その「魅力」について迫った。
参加者は、それぞれが考える「中小企業の魅力」を提示し、共有し合った。また、他の参加者が提示した魅力についてもそれぞれが熱く語り、トークが繰り広げられた。
学生は、企業人の方と中小企業の「魅力」について考える濃密な時間を過ごした。学生が自ら、就職や働くことについて考える機会を、このトークセッションで得たと言える。
第1部の学生発表に関連したものや、その他の取り組みに関するパネルが展示された。パネルはどれも興味深く観覧され、パネルについての質問が見られるなど、終始会場は賑わっていた。
参加者からは、「半年間なり1年間、一生懸命に学びと実践を掛け合わせてきた成果がパネルに反映されていたと感じた。彼らのような姿勢や技量が中小企業に必要だ。」「産業界ニーズに寄り添いながらも、リアルな課題に対して学術的な分析がなされており、単に大学の資格制度という認識はもはやない。産学公一丸となり創る社文系の産学連携教育のパワーと機能した時に溢れるグローカル人材を育む京都に明るい希望を感じた。」という声が寄せられた。
パネルディスカッションは「オール京都でグローカル人材を育むために」というテーマに基づいて議論が展開された。
増田寿幸氏からは、京都ベンチャーの秘密が、「伝統と革新を両立させる」という京都の価値にあること、人材育成については、まさに竹田氏のような人材が目標であることなどが述べられ、最後に大学の枠からはずれ学生をエンカレッジするようなプログラムがイノベーションにとって大事であると述べられた。
竹田正俊氏からは、自身の経験やシリコンバレーのシステムについてお話いただいた。そして、大学には就職という選択だけでなく、アントレプレナーシップ、起業家を育成するような教育をしていただきたいと述べられた。
福原早苗氏からは、「地方創生」の観点から、グローカル人材についてお話いただいた。その後、地方創生の戦略づくりについて述べられ、卒業後に地域で活躍できるような人材育成を今後の大学間連携事業に期待したいと述べられた。
黒宮一太氏からは、大学の立場から、京都は大学間が遠くないことで、共に学び合えるようなシステムがあること、また、流行から少し身を引きじっくりと物を考えることができる場所であることが述べられた。
最後に青山公三氏が、大学の新しいビジョンとアントレプレナーシップについて述べられ、オール京都でのグローカル人材育成についてまとめられた。
無事に第二回目のフォーラムが開催され、多くの皆様に参加いただいたことに感謝申し上げる。
ここ何年かの間に学生と接する機会が増えたが、このような場に参加されている学生は非常に意識が高く、自分の目標を持った人たちであると感心している。ぜひとも京都に残って就職していただき、今後の京都の地方創生を担っていって欲しいと願っている。
約300名の方々に長時間お付き合いいただき大変ありがたく思っており、貴重なご意見をいただき感謝申し上げる。また、ひとつひとつのプロジェクトで学生が成長し、企業人と肩を並べ話す姿を見て大変嬉しく思う。
産学公の連携を超えた濃密な関係が創られているように感じており、実践型教育への改革がこの国・地域の未来を創る上で不可欠であると確信をもって取り組んでいる。